遺産分割協議書が偽造されたらどうなる?
かなり極限的な事案といえますがそういった場合についてここでは説明していきます。
あり得るとしたら、親やきょうだいに「悪いようにしない、任せてほしい」と言われて理解もせずに実印と印鑑証明を渡してしまったりする場合でしょうか。
遺産分割協議がまとまった場合、遺産分割協議書を作成します。
金融機関の解約や名義変更、不動産や自動車の名義変更には必ず遺産分割協議書が必要であり、その上で各種書類に相続人ごとの署名・実印での押印及び印鑑登録証明書の確認が必要です。
ですので、そういった手続を偽造した遺産分割協議書で乗り切るというのはなかなかできないと考えられます。
更に、弁護士が誰かの代理人になっていれば、絶対に起こりません。
また、遺産分割協議書には、各種機関が遺産分割を認めるに足りる内容になっていないとなりません。
必要書類を渡してしまったり、書類が多く、気づかないうちに遺産分割協議書に署名押印してしまったりして、虚偽の内容の遺産分割協議書が出来ることも可能性としてはあります。
さらに、同居しているが故に勝手に必要書類を持ち出すことが可能な場合や、認知症などで意思をはっきりと示すことができない相続人がいる場合にも、偽造されることがあるようです。
こういったケースでは、本来成年後見人を付ける必要があるため、そこに煩雑さを感じる場合などはやってしまうこともあるようです。
遺産分割協議書が偽造されたときの対処法には以下のようなものがあります。
- 証書真否確認請求訴訟(民事訴訟法134条)
- 遺産分割不存在確認請求訴訟
- 不法行為(民法709条)に基づく損害賠償請求訴訟又は不当利得(民法704条)に基づく返還請求訴訟
また、場合によっては刑事事件として以下の罪状での立件も可能です。
- 私文書偽造罪(刑法159条)
- 詐欺罪(刑法246条)
- 偽造文書行使罪(刑法161条)
- 公正証書原本不実記載罪(刑法157条)
以上、遺産分割協議書が偽造された場合について述べてきました。
やはり大事なのは、遺産分割に関する手続は自分で行うか弁護士に依頼する。
自分で行う場合は、すべての書面に目を通して納得してから署名押印することが肝要です。
万が一、偽造されてしまった場合は迅速な対応が必要となります。
遺産分割協議書でお悩みがあれば是非当事務所の初回無料相談をご利用ください。
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