不動産の遺産分割・名義変更が進まずお悩みの方へ

遺産分割協議において、相続財産の大部分を占め、相続人の方の生活の基盤となっていることも多い不動産が最も重要な事項というのが一般的です。

 

重要なだけに相続人間の協議でまとまらない場合も多いといえます。

 

それでは不動産の遺産分割で揉めてしまった場合どうしたらよいのでしょうか。

まとまらない場合には、いくつかのパターンがありますので、下記にパターンごとに見ていきます。

 

 

1 相続人間で話し合いがまとまらないパターン

相続人間で話し合いを行ったがまとまらないケースが最も多いといえます。

 

まず考えられるのが、不動産の評価に差があるケースです。

 

双方で不動産屋から査定を取るのですが、その金額の開きが大きい場合、遺産分割協議が膠着してしまいます。

 

両者が歩み寄れるのか。どちらか一方が法外な金額を主張しているのかどうかなどで対応が変わってきます。

 

どこかの段階で協議を諦めて調停に場を移す必要が出てくるケースが多いと言えます。

 

その場合、どうしても金額で折り合わないなら裁判所が選任する不動産鑑定士に金額を決めてもらうことも視野に入れる必要があります。

 

 

以上のようなケースでは、都度最適な対応をすることが必要となります。

 

金額も多額になることが多いため、専門家である弁護士に依頼して最適な方法を選んでいくことをおすすめします。

 

 

2 相続人が疎遠で連絡がとれないパターン

遺産分割協議は、通常は、相続人の全員の合意のもとで行われます。

 

しかし、長年音信不通状態など、相続人の一人がどこにいるのかわからないというケースもあります。
多くの場合、戸籍謄本と戸籍の付票でどこにいるかまでは調査委出来ますが、中には住民票が抹消されてどこにいるかわからないというケースもあります。

 

その場合は、不在者管理人等の制度を利用するなどかなり煩雑な手続きとなってしまいます。

 

 

また、音信不通の相続人の居場所が判明しても、連絡を取ればすぐに遺産分割協議が進むと言うことは殆どありません。

 

というのは、音信不通の相続人は、その他相続人と関わりたくないため音信不通状態になるのであって、相続人から連絡が来ても知らぬ存ぜぬを決め込む場合がほとんどです。

 

そうなってしまうと、遺産分割調停を申し立てて、裁判所の手続で決着を付けるほかありません。
裁判所の調停調書や審判書があれば、不動産登記手続きはもちろん、金融機関の解約手続に音信不通状態だった相続人の署名押印が不要となる場合も多く(残念ながら要求してくる金融機関もあります・・・。断固抗議しますが。)、かえって早い場合もあります。

 

家族、親戚と音信不通状態だった相続人に多くを期待することは出来ないといえ、やはりどこかの段階で見切りを付けて裁判所を利用することを視野に入れるべきケースと言えます。

 

裁判所では、システマティックに手続きが進んでいきますので、初めて利用するという場合、わからないことや不安が多いかと思います。

 

そういった場合、弁護士を代理人にして裁判所の手続に臨むことで不安は払拭され、何より知らなかったことによる後悔をせずに済むと言えます。

 

このような場合には、弁護士が戸籍等から所在の調査を行い、連絡をとって交渉をするケースがあります。

 

以上、不動産の遺産分割について述べてきました。

 

不動産は、価値が高いこと、及び、相続人の方の生活の基盤となっていることから、安易な妥協が出来ない話です。

 

後で、一生の後悔をしないためにも、一度専門家である弁護士に相談してみてはいかがでしょうか。

きっと得るものがあるかと思います。

 

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この記事の執筆者

島武広
島武広島法律事務所 代表弁護士(神奈川県弁護士会所属)
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