相続回復請求権について
目次
1、相続回復請求権とは
相続回復請求権とは、相続権を有する相続人(真正相続人)が、相続人であると称して相続人の権利を侵害している者(表見相続人)に対して、相続財産の占有・支配の回復を請求する権利です。
たとえば、実子ではない戸籍上の子などの本来相続人ではない者や、相続欠格事由(民法第891条)に該当して相続人となることができない者が、相続財産を勝手に管理しているような場合、相続回復請求権の行使場面に該当します。
2、相続回復請求権を行使できる人と相手方
ここでは、相続回復請求権を行使できる人・行使の相手方について解説します。
(1)相続回復請求権を行使できる真正相続人
相続回復請求権を行使できるのは、相続権を有する相続人(=真正相続人)です。
また、相続分の譲受人、包括受遺者、相続財産管理人、遺言執行者も真正相続人に準ずるとして相続回復請求権を行使できます。
なお、相続財産の特定承継人は相続回復請求権を行使することはできません。
(2)相続回復請求権の相手方である表見相続人
相続回復請求権の行使を受ける相手方は、相続人であると称して相続人の権利を侵害している者であり「表見相続人」と呼ばれます。
具体例としては、
- 相続欠格事由に該当して相続権を失った人(民法第891条)
- 相続廃除によって相続権を失った人(民法第892条、第893条)
- 事実と異なる出生届や認知届が行われ、本当は被相続人の子でないにもかかわらず、子として相続をした人
- 無効な婚姻に基づき、配偶者として相続をした人
- 無効な養子縁組に基づき、養子として相続をした人
- 自己の持分を超えて相続権を主張する共同相続人(最高裁昭和53年12月20日判決)
となります。
上記のように限定されているため、相続回復請求権が問題となるケースは、実際には非常に少なくなっています。
3、相続回復請求権の時効について
相続回復請求権には、物権である所有権とは異なり、民法上の消滅時効が設定されています。そのため、相続回復請求権の行使を検討している場合は、早めの対応をとることが大切です。
① 相続人またはその法定代理人が相続権を侵害された事実を知った時から5年
② 相続開始の時から20年
となっています。
以上相続回復請求権について説明してきました。
上でも述べた通り、通常の事案では適用されない権利ですので、もしご自身が該当するかも?と考えた場合専門家である弁護士に相談することをお勧めします。
是非当事務所の初回無料相談をご利用ください。
適用の有無にとどまらず、事案に即したアドバイスをさせていただきます。
この記事の執筆者
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初回相談は無料でお受けしておりますので、お悩みの方は、お一人で抱え込まず、ぜひ一度相続に注力する弁護士にご相談ください。
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