遺産分割協議がまとまらず調停・審判・裁判になっている方へ
目次

相続人同士の話し合い(遺産分割協議)がまとまらない場合や、何らかの理由で協議自体ができない場合、舞台を家庭裁判所に移して解決を図ることになります。
主な手続きには「調停(ちょうてい)」「審判(しんぱん)」「訴訟(そしょう・裁判)」の3つがあります。
「調停」と「審判」の違いと基本の流れ
まずは「遺産をどう分けるか」を決めるための基本となる2つの手続きを解説します。
原則として、いきなり審判を起こすことはできず、まずは調停(話し合い)からスタートします。
① 遺産分割調停(裁判所での話し合い)
内容:裁判所の「調停委員(社会経験豊富な有識者)」が間に入り、当事者双方から意見を聞いて解決策を探る話し合いの手続きです。
ペース:1〜2か月に1回程度の頻度で行われます。
場所:原則として「相手方の住所地」の家庭裁判所です。(例:自分が横浜、相手が札幌なら札幌の裁判所)。ただし、現在は電話会議やWeb調停も認められているため、遠方でも出向かずに済むケースが増えています。
効力:話し合いがまとまると「調停調書」が作成されます。もし相手がこの内容に従わない場合、財産を差し押さえるなどの「強制執行」が可能です。
注意点:調停委員はあくまで中立な立場の「仲介役」です。あなたに有利な証拠を集めたり、法的なアドバイスをしてくれたりするわけではありません。
不利にならないためには、弁護士を代理人に立てるか、事前にアドバイスを受けることが重要です。
② 遺産分割審判(裁判官による決定)
内容:調停での話し合いが決裂(不成立)した場合、自動的に「審判」という手続きへ移行します。
決定方法:話し合いではなく、裁判官が双方の主張や証拠、法律に基づいて「遺産の分け方」を強制的に決定します。
不服がある場合:審判の内容に納得がいかない場合は、2週間以内に高等裁判所へ不服申立て(抗告)を行う必要があります。期限を過ぎると内容が確定します。
遺産の「前提」で揉めている場合は「訴訟(裁判)」へ
遺産を「どう分けるか」以前に、「そもそも誰が相続人か」「どこまでが遺産か」といった大前提で争いがある場合は、調停の前に「訴訟(裁判)」を起こして白黒つける必要があります。
よくある4つの訴訟ケースをご紹介します。
①相続人の地位不存在確認訴訟(誰が相続人かで揉めている)
(例)後妻が夫を脅して遺言を書かせたなどの理由で、先妻の子が「後妻には相続する権利(地位)がない」と訴える場合。
②遺産確認訴訟など(どこまでが遺産かで揉めている)
(例)「長男名義の不動産だが、実際はお金を出した亡き父の遺産である」と次男が主張して争う場合。
③不当利得返還請求訴訟(生前の使い込みで揉めている)
(例)亡くなる前に、同居していた長男が親の口座から勝手に多額の現金を引き出しており、他の兄弟がその返還を求める場合。
④遺言無効確認訴訟(遺言書の有効性で揉めている)
(例)「全財産を長男に譲る」という遺言書が見つかったが、親は当時重度の認知症だったため無効だと主張する場合。
「調停」から始めるべきか?「訴訟」を先にするべきか?
前提事項(遺産の範囲など)に争いがある場合、「いきなり訴訟を起こすか」「まずは調停で話し合ってみるか」の判断は非常に難しくなります。
訴訟から始めるべきケース:お互いの対立が激しく、調停で話し合っても絶対に平行線をたどると分かっている場合。訴訟で事実を確定させてから調停に移行します。
調停から始めるケース:相手の譲歩が引き出せそうな場合。調停の中で前提事項についても話し合い、一挙に解決できることもあります。二度手間を防ぐ意味でも有効です。
この判断には、証拠の強さや裁判の勝敗予測など、専門的な見極めが不可欠です。
トラブルになる前に弁護士へご相談を
遺産分割の手続きは、次のような複雑なステップを辿ります。
【前提問題の調査】→【訴訟(争いがある場合)】→【遺産分割調停】→【遺産分割審判】→【不服申立て(高等裁判所へ)】
以下のような状況にある方は、手続きが複雑化する前にぜひ一度ご相談ください。
遺産分割の話し合いがスムーズに進まない
他の相続人から理不尽な提案をされている
突然、裁判所から調停の呼び出し状(書類)が届いた
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