遺産分割協議が完了した後、協議のやり直しはできるのか
目次
遺産分割協議をした後、合意した内容を遺産分割協議書にした後「やっぱり納得できない」としてやり直しをすることが出来るでしょうか。
答えを先に言うと余程の理由がない限り出来ません。
大の大人が合意して署名押印したのですから、後からなしは出来ないというのが原則です。
ただ、それ程多くはありませんが認められるケースもあります。
1 財産の漏れなどがあった場合の錯誤無効
遺産分割時に重大な財産の漏れがあり「その遺産の存在が分かっていたら遺産分割に合意しなかったであろう」と認められる場合などには、相続人は「錯誤無効」を主張できます(民法95条)。その場合、遺産分割は無効になるのでやり直しが可能です。
2 詐欺、強迫による取消
誰かが相続財産を故意に隠していたため他の相続人が勘違いをした前提で遺産分割協議がまとまってしまった場合、遺産分割の際に強迫(脅迫)が行われて恐怖した相続人がやむなく遺産分割協議に応じた場合などには、だまされたり脅されたりした相続人が遺産分割協議を取り消せます。
3 やり直しに全員が合意した
相続人が全員遺産分割のやり直しに合意した場合には再度の協議が可能です。
4 相続人が漏れていた
遺産分割協議には相続人が全員にて行う必要があるため、漏れがあればその人を参加させてやり直す必要があります。
5 意思能力のない人が参加していた
認知症などで意思能力がない人が遺産分割協議をしていた場合には無効となるためやり直すことが必要です。後見人を選定してやり直すことになります。
6 親子の利害相反がある
子供が未成年者で親が親権者であるときに、その双方が相続人の場合、利益が対立するので特別代理人を選定する必要があります。その場合はやり直しとなります。
7 新たに相続人が現れた
父を定める訴えや母子関係確認訴訟などによって遺産分割協議後に新たな相続人が現れた場合には、その相続人を交えて再度遺産分割協議のやり直しが必要です。
8 遺産分割審判はやり直しができない
家庭裁判所で遺産分割審判が行われて遺産分割方法が決まった場合詐欺錯誤を理由にやり直しは出来ません。審判は裁判所が決めたことであり、相続人たちの意思で決めたものではないからです。
以上述べてきましたが余程のことがない限り、遺産分割協議のやり直しは出来ませんが、事情によってはやり直しがきく場合があります。
ご自身が当てはまるとお考えなら一度弁護士に相談することをお薦めします。
この記事の執筆者
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