自筆証書遺言でのよくある失敗例

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文字通り自分で書けるため、公証人のチェックが入る公正証書遺言とは異なり、遺言者の方の意思通りの結果とはならず、結局紛争を招くことがあります。
以下、具体例をみていきましょう。

 

1 住所で不動産を特定

 

私が所有する横須賀市大滝町1ー2-3の自宅は、長男〇〇へ相続させます。
不動産の特定には、登記簿謄本に書かれた地番と家屋番号でする必要があります。
場合によっては、法務局の判断により、相続登記が受理される可能性もあります。

 

2 土地か建物だけの記載

土地を特定すれば、自動的に土地上の建物も土地を相続する者が相続できるわけではありません。土地と建物は別の不動産ですからしっかりとそれぞれ記載しましょう。
特に建物だけ指定ですと、土地の利用権もなく価値がないものの相続となってしまいますのでご注意ください。

 

3 「託す」「管理させる」と記載

 

これでは相続することにはならず、法務局も移転登記をしてくれません。
しっかりと「相続」させると記載しましょう。

 

4 持分割合が不明

 

これですと複数人に相続させたときどのような持ち分にすれば良いか不明となり、結局遺産分割協議が必要となります。

 

5 一部預金だけ記載

 

その他預金については遺産分割協議が必要となり、指定した預金も単なる相続財産の指定に過ぎないと判断されることもあります。そうなってしまうとわざわざ遺言を作成した意味がないことになってしまいます。

 

6 「遺贈」と記載

 

「遺贈」と書いてしまった場合には相続登記ではなく遺贈登記となってしまいます。遺贈登記となってしまうと原則として相続人全員を登記義務者としなければいけません(相続人全員の実印と印鑑証明書が必要)。

 

7 感謝や思い・気持ちのみ記載

 

結局遺産分割協議をしなくてはならず、何のための遺言かわかりません。

遺言書は文言だけでなく、全体的に見て適法かつ適切な内容でなければいけません。

 

8 指定のない財産がある

 

結局遺産分割協議が必要なるため、その他一切の財産を相続させる者を決める方が無難と言えます。

 

9 愛人へ遺贈

 

遺贈となると不動産の名義変更の際に、相続人全員の協力が必要となってしまいます。
愛人へ全財産を遺贈した場合にはそれが難しいことは容易に想像できます。
本件では遺言執行者を遺言書の中で指定しておくべきといえます。

 

10 私道について書かれていないケース

 

相続させる不動産が私道に接道している場合、私道も含めて相続させないと不動産の価値が殆どないものになってしまいます。かえって不動産を任されたため、私道取得のため他の相続人に法外な代償金を支払うこともあり得、迷惑となってしまうことも考えれます。

 

しっかりと私道も含めて遺言しましょう。

 

以上、色々なケースを紹介してきました。

 

 

遺言を遺すのは、相続人に無用な争いをして欲しくないからというのが最も大きな理由と思います。

 

そんな意思を確実にするためには、遺言を作成する際弁護士に相談することをお薦めします。

 

相続に注力する弁護士であれば、相談者の求めるものを把握して。最適なアドバイスをすることが可能です。

 

お薦めは遺言書案の作成自体を弁護士に依頼することで、そうすることで憂いなく遺言を作成することが出来ます。
遺言の作成がかえって紛争を招いてしまわないようにしましょう。

この記事の執筆者

島武広
島武広島法律事務所 代表弁護士(神奈川県弁護士会所属)
当サイトでは、相続問題にまつわるお悩みに対して、弁護士の視点で解説をしています。また、当事務所にて携わった事案のポイントも定期的に更新しています。地元横須賀で、「迅速な解決」を大切に代理人として事件の解決に向けて取り組んでいます。

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