遺産にアパート・マンションなどの収益不動産が含まれている方へ
収益用不動産の所有者がお亡くなりなった場合、相続人のいずれかが当該不動産の所有権を取得することになります。
それでも、収益用不動産の相続にはいくつか気を付けたいポイントがあります。
以下説明していきます。
1 不動産の評価
まず、収益不動産であろうと居住用不動産であろうと、遺産分割の前提として、物件の価値を把握する必要があります。
不動産価値の算出方法としては、いくつか方法があるのですが、収益不動産については、収益価格(収益利回り)を考慮して算出する方法もあるため、単なる不動産単体としての価格よりも高く評価される可能性があります。
収益不動産の取得を希望する相続人としては、不動産の評価が重要なポイントとなることもあります。
ですので、安易にその評価額を決めることなく、色々な可能性を検討して決めていく必要がります。
当事務所でも、ある評価方法ではマイナスとなる物件のため、最初は遺産分割する価値はないと相手に主張されていましたが、しっかりと不動産を調査し、遺産分割をする価値があることを把握して1000万円以上の代償金を獲得した事案もあります。
ご自身だけで決めず、専門家である弁護士に相談してから署名押印をしましょう。
2 不動産に関する借入状況の把握
収益不動産にローンが組まれている場合には、その物件を取得する相続人がローンを引き継ぐこととなるのが通常です。
そのため、ローンの残高や月々の返済額をしっかりと把握することが大切です。
そして、収入額と返済額が見合っているかどうかを慎重に検討したうえで、その物件の取得を希望するかどうかを判断するようにしましょう。
また、ローンを引き継ぐ場合には、ローンの残高を踏まえて、他の遺産の取り分や代償金の額を検討することとなります。
このように、不動産に関する借入状況の把握は、遺産分割の前提として必須の調査項目です。
3 賃貸条件の把握
収益不動産を取得した場合、賃借人との契約関係を引き継ぐこととなります。
そのため、その物件の賃貸条件について把握しておく必要があります。
具体的には、賃借人が誰であるのか、賃料がいくらであるのか、賃貸期間はいつまでなのか、賃料の滞納はあるのか、敷金の返還義務があるのか、必要費・有益費の支払義務はあるのか、などの現状を把握しておく必要があります。
もし他の相続人が賃貸借関係を管理していたという場合には、その相続人に計算報告を求め、実態を把握する必要があります。
4 賃料の分配
収益不動産から得られる賃料については、その取り扱いが少し複雑です。
収益用不動産の賃料については、遺産分割後に所有権を取得した相続人に賃料を取得することになります。
遺産分割するまでの間の賃料は誰が取得することになるでしょうか。
最判平成17年9月8日民集59巻7号1931頁は、以下のように判示しました。
「各共同相続人がその相続分に応じて分割単独債権として確定的に取得する。遺産分割は、相続開始の時にさかのぼってその効力を生ずるものであるが、各共同相続人がその相続分に応じて分割単独債権として確定的に取得した上記賃料債権の帰属は、後にされた遺産分割の影響を受けないものというべきである。」
要するに遺産分割前の賃料は、各相続人が法定相続分に基づいて取得することになります。
ただし、遺言がある場合は遺言で当該不動産を取得する相続人が被相続人の死亡後から賃料を取得することになります。
それは、遺言がある場合は、共同相続人間の遺産分割協議を経ずに、被相続人の遺言によって、相続開始と同時に遺言で当該不動産を取得する相続人が所有権を単独で取得し(民法985条1項)、当該不動産が共同相続人間で共有状態となることはなく、賃料債権が法定相続分に応じて当然分割されないことによります。
以上、収益用不動産が遺産に含まれている相続について説明してきました。
収益用不動産は、評価によって価値が大きく変わり、当然相続の結果を価値の評価が大きく左右します。
ご自身のみで判断することなく、是非当事務所の初回無料相談をご利用ください。
相続を専門とする弁護士が事案に即したアドバイスをしっかりとさせて頂きます。
この記事の執筆者
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当サイトでは、相続問題にまつわるお悩みに対して、弁護士の視点で解説をしています。また、当事務所にて携わった事案のポイントも定期的に更新しています。地元横須賀で、「迅速な解決」を大切に代理人として事件の解決に向けて取り組んでいます。
初回相談は無料でお受けしておりますので、お悩みの方は、お一人で抱え込まず、ぜひ一度相続に注力する弁護士にご相談ください。
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