遺産である不動産から発生する賃料は遺産分割が終わるまで誰が取得するのか

Q:遺産である不動産から発生する賃料は遺産分割が終わるまで誰が取得するのか

A:この賃貸不動産から発生する賃料収入についての判例では、各共同相続人が相続分に応じて取得すると判断しています。

 

「遺産は、相続人が数人あるときは、相続開始から遺産分割までの間、共同相続人の共有に属するものであるから、この間に遺産である賃貸不動産を使用管理した結果生ずる金銭債権たる賃料債権は、遺産とは別個の財産というべきであって、各共同相続人がその相続分に応じて分割単独債権として確定的に取得するものと解するのが相当である」

(最判平成17年9月8日最高裁判所裁判集民事217号785頁)。

 

賃貸不動産を1人が取得するとした場合、遺産分割協議は、亡くなった時点にさかのぼって効力がある(民法909条)ため、その賃料は、遺産分割によって取得する人がもらえるのではないかとも考えられます。

 

しかし、この問題について判例は、

「各共同相続人がその相続分に応じて分割単独債権として確定的に取得した上記賃料債権の帰属は、後にされた遺産分割の影響を受けないものというべきである」

と述べ、影響が無いと判断しています(上記最高裁判決)。

 

亡くなってから遺産分割協議がまとまるまでの間は、相続人が相続分に応じて受け取れ、遺産分割協議後は、賃貸不動産を相続した人のものになるということになります。

遺産分割協議が成立して1人が単独で賃貸不動産を取得することになれば、その成立後の賃料はその不動産所有者が取得することになります。

 

 

 

この記事の執筆者

島武広
島武広島法律事務所 代表弁護士(神奈川県弁護士会所属)
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