相続問題について弁護士に依頼するタイミング
既に相続人間で争いになっている場合は当然として、争いになりそうな雰囲気を感じたら、可能な限り早めに弁護士へ依頼することをお勧めします。
相続問題は、解決までの時間が長引けば長引くほど、感情的な対立を産み、相続人間の関係を修復することが難しくなるのが一般的といえます。
そういった観点からも、弁護士への依頼はできるだけ早期に行い、速やかな解決を目指すべきといえます。
1 交渉段階でのメリット
交渉段階において弁護士に依頼するメリットとしては、弁護士ですから法的なアドバイスを得られる、判例などに即した妥当な解決への道筋を立てられることなどは当然として、一番重要なのは、その交渉力で有利な解決が出来る可能性が高まるということにあります。
私たち弁護士は、損害賠償の金額や和解条件など日々交渉をし続けています。通常の方は一生にそう何度も交渉する機会はないかと思います。交渉になれたプロであるからこそ、交渉段階で弁護士に依頼することは重要なのです。
また、当事務所のように相続問題に注力している弁護士に依頼することは、通常の弁護士に比して、経験やノウハウの蓄積に差があり、結果として有利な解決を得られることが想像以上にあります。
実際、相続事件において、「どうして相手の代理人はこのような主張をしてくるのだろうか」「どうしてこの点を主張してこないのだろうか」と感じることは多々あり、その点は改善されずこちらに有利なまま解決となることがあるのが現状です。
相続問題に注力している弁護士に相談することが自ら望む解決への近道と言えます。
また、弁護士に依頼することで妥当な範囲での提案が出来、結果的に早期解決に資することも多くあります。
無茶な要求により相手が態度を硬化させる、逆に相手から理解できない要求をされ頭に血が上る徹底的に争う決意を固めるなどありがちなのですが、弁護士に依頼することで、相手に相場を説明して要求を適正化させる、自身の請求も妥当な範囲なものに修正することで早期解決が図れることが多いのです。
こちらが弁護士を付けることで、相手も弁護士を付け、弁護士同士で早期妥当な解決が導けることも多々あります。
以上述べてきましたが交渉段階において弁護士に依頼をするメリットがあることをおわかりいただけたのではないでしょうか。
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2 調停段階でのメリット
遺産分割調停は、話合いだから弁護士がいなくても大丈夫だろう。とお考えの方がよくいらっしゃいます。
具体的な問題点を相談で確認して、あとはご自身でおやりになるという方針の方が稀にいらっしゃいます。
残念ながら遺産分割調停はそれ程甘くありません。
それには色々な理由があります。
まずは、遺産分割調停は0から単に話合いをするようなものではないということが言えます。
例えば、東京家裁などでは、いつ、何を、どのようにして話し合っていくかの順番が細かく決められており、それに沿って進められていきます。
審判や訴訟になってから言えばいいなどと軽く考えていると、後から言いたいことも言えなくなるというおそれがあるのです。
調停は、審判の前提になることを次から次へと決めていく手続きであり、単なる話合いではないのです。
調停でのやり取りにより、以後の手続きへの影響が大きいのが遺産分割調停の現状です。
次に、調停委員への対応が必要となってきます。
調停委員によってレベルの差はかなりあり、優秀な調停委員はしっかりと公平に誰がやっても同じ処理をしてくれますが、調停委員によっては「私はこう思う」「こうするのが常識」などと一個人としての想いを押しつけてくるレベルの低い方が散見されるのが実情です。審判になればそのような判断がなされないのが明らかであるにもかかわらず「普通」「みんな」「常識」など抽象的な理由を振りかざして、「言うことを聞け」的な態度をしてくる方がいるのです。
中には弁護士に依頼した後も同じようなことを言い、弁護士相手に「従え」という調停委員もいらっしゃいます。もちろん、断固として断りますが。
法律的には、判例的にはこうなるはずだと反論しても「法律は法律」「判例は判例」などと平気でおっしゃる方もいるのです。その様な調停委員は当然相手にしないのですが。
調停委員は裁判所の人間だから皆法律に精通している、そういうものなのだろう、と考えているのでしたら大きなしっぺ返しを受けることになりかねないでのす。裁判官ではない調停委員は基本法律家ではない方が殆どなのです。
調停委員がどうにもならないときは評議を要求して裁判官の判断を得るということが必要になるのです。その辺りの判断はやはり何度も遺産分割調停を経験しないと適切に行うことは難しいと言えます。
また、法律的な主張をしなくてはならない。ということもあります。
長年被相続人の方が営んできた事業に尽力したことや介護を一手に受けてきたなどというとき、裁判所において「寄与分」を主張しなくてはなりません。
他にも、生前に他の相続人が被相続人から援助を受けていた場合など、「特別受益」を主張しなくてはなりません。
そういったことは自分から主張しなければならず、単に待っていても何も検討されません。
また、自分から主張出来たとしても、「法律的に」正しい主張をしないと一切認めてもらえないのです。
遺言があるからその通りに分ける、法定相続分通りに分けるなどとは異なり、専門的な知識に基づいて法律的に求められている主張立証をしなくてはならないのです。
以上述べてきたとおり、遺産分割調停は、弁護士に依頼することなしに満足な解決を導くことは難しいというのが本当のところとなっています。
3 審判・裁判において
上記で述べたとおり、遺産分割調停は審判・訴訟を前提として、かなり踏み込んだところまで話し合いが行われ、そのための証拠等を既に提出済みであることが通常です。
また、深刻な対立があるからこそ、審判・訴訟に移行するのですから、基本的に弁護士無しに自ら遂行することは困難となっています。
調停とは比べものにならないくらい法律的な主張・立証をしっかりする必要があり、その審理は書面主義であり、書面に記載されたことのみを基に判断されてしまうのです。
一度書面に書いて提出したことは、相手の同意無しに撤回できないため、高度な法律知識無しに行うことは控える方が無難となっています。
調停・訴訟においては、弁護士への依頼は必須となっていると。と言えるでしょう。
4 さいごに
遺産分割は、金額の大きさや一度きりのため、より慎重さが求められ、高度な交渉力が必要となります。
何も知らず判子を押してしまうと後で後悔することになります。
そうならないためにも、相続の専門家である弁護士に相談することから始めてみてはいかがでしょうか。きっと得るものがあるはずです。
この記事の執筆者
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当サイトでは、相続問題にまつわるお悩みに対して、弁護士の視点で解説をしています。また、当事務所にて携わった事案のポイントも定期的に更新しています。地元横須賀で、「迅速な解決」を大切に代理人として事件の解決に向けて取り組んでいます。
初回相談は無料でお受けしておりますので、お悩みの方は、お一人で抱え込まず、ぜひ一度相続に注力する弁護士にご相談ください。
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