不動産の共有名義での相続に関するリスクと対策・解決方法
目次
結論から申し上げますと、遺産の不動産を相続人間で共有名義にして相続することは「まったくお薦めしない」と言えます。とりあえず共有にしておくことは、抜本的な解決にはならず、紛争を先送りしているにすぎないからです。
以下に、共有名義にするリスクや、それを回避・解消するための具体的な方法をまとめました。
不動産を共有名義で相続する5つのリスク
不動産を共有すると、以下のようなさまざまなトラブルの火種となります。
・全員の同意が必要で売却や活用ができない
不動産全体を売却したり、大規模なリフォームを行ったりするには、共有している全員の合意が必要です。一人でも反対する人がいれば、処分や有効活用はできなくなります。
・維持費や税金の負担割合で揉める
固定資産税や建物の修繕費は持分に応じて負担するのが原則ですが、「自分は住んでいないのになぜ税金を払うのか」といった不満が出やすく、トラブルに発展しがちです。
・権利関係が複雑化する(持分の細分化)
共有者が亡くなり相続が繰り返されると、子どもや孫へと持分が細分化され、共有者が数十人に膨れ上がることもあります。人数が増えるほど合意形成に労力と時間がかかり、何も決められなくなります。
・不動産が放置され管理不全になる
意見がまとまらず放置されると、建物の老朽化が進んで倒壊リスクが高まります。また、自治体から「管理不全空家等」に認定されると、固定資産税が最大6倍に増加することもあります。
・持分が勝手に売却される
自分の「共有持分」だけであれば、他の共有者の同意なしに単独で売却可能です。そのため、全く面識のない第三者(買取業者など)に持分が渡り、トラブルになるケースが多発しています。
共有名義での相続を回避する3つの分割方法
共有トラブルを避けるためには、遺産分割協議の段階で以下のいずれかの方法をとるべきです。
・換価分割(売却して現金を分ける)
不動産全体を売却して現金化し、その代金を相続人の持分割合等に応じて分ける方法です。誰も使用する予定がない場合に有効です。
・代償分割(1人が取得し、代償金を払う)
相続人の1人が不動産を単独で取得し、他の相続人に対して持分に見合う「代償金(現金)」を支払う方法です。実家を残したい場合に有効ですが、取得者に相応の資金力が必要です。
・分筆(土地を切り分ける)
遺産が土地の場合、持分割合に応じて1つの土地を複数に分割(分筆)し、それぞれを単独所有にする方法です。ただし、形状や日当たりで価値が変わるため、公平に分けるのが難しい側面もあります。
すでに共有状態になっている不動産の解消方法
すでに共有名義になっている場合は、以下の方法で共有状態の解消を図ります。
・不動産全体の売却
共有者全員の同意を得て不動産を売却し、代金を分けます。
・持分の売却や移転
自分の持分を、不動産の単独所有を希望する他の共有者、あるいは第三者の専門業者に売却・移転します。
・持分の買い取り
自分が単独所有したい場合は、他の共有者から持分を買い取ります。
・持分の放棄
自分の持分を手放し、他の共有者に帰属させます。
トラブルを未然に防ぐための「生前対策」
将来の共有トラブルを防ぐためには、財産を持つ人が生前に対策しておくことが最も効果的です。
・遺言書の作成
特定の人に単独で相続させる旨を遺言書に記載しておくことで、共有状態を防ぐことができます。
・共有持分の生前贈与
すでに共有状態の場合、自分の持分を他の共有者に生前贈与して単独所有に近づけることができます。
・家族信託の利用
生前に不動産の管理を信頼できる家族に託し、自分が亡くなった後の承継者もあらかじめ定めておくことで、共有状態を回避できます。
専門家への相談が重要
不動産の共有問題は、親族間の不公平感や意見対立を生みやすく、解決には多大な労力がかかります。効果的な生前対策や、すでにこじれてしまった共有状態の解消には専門的な法的知識が不可欠ですので、まずは弁護士などの専門家に相談することを強くお薦めします。
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相続を専門とする弁護士として事案に即した適切なアドバイスをさせていただきます。
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