Q&A 土地の無償利用は特別受益と言えるか
質問
相続人の中に、被相続人の土地を無償にて使用していた者がいるのですが、そのことは特別受益にあたりますか?
回答
まず、地代の支払いを免れていることについては特別受益にあたりません。
といいますのは、地代を支払っていないことで土地の価値が減少することがないため遺産を事前に受け取っていると考えられないからです。
次に、相続人が土地の上に建物を建築するなどして使用貸借契約が成立してる場合には、使用貸借が成立している分の土地の価値の減少分だけ特別受益が認められることとなります。
建物所有目的の使用借権の価値は,更地価格の1割から3割程度ですが,木造建物などの非堅固建物の場合,更地価格の1割程度と評価されるのが一般的と言えます。
もっとも、理論上特別受益と認められうるのですが、実際は建物を壊すわけにはいかないため、土地を利用している相続人が当該土地の相続を強く希望します。
そうすると、相続人が、その土地を更地の価値で相続することになるので、問題はさほど生じないのが一般的と言えます。
争いとなるのは、土地の価値が土地を利用している相続人の法定相続分を超え、かつ、その相続人が他の相続人の相続分を穴埋めする代償金を用意できない場合です。
そうなると、自らの住居が掛かっていますので、長期に亘り遺産分割の話合い、調停、審判、訴訟をしていくこととなります。
この記事の執筆者

- 島法律事務所 代表弁護士(神奈川県弁護士会所属)
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