遺留分侵害請求に期限はあるのか
遺留分を侵害されたら、請求期限はいつまでになるのでしょうか?
基本的には「相続開始と遺留分侵害」を知ってから1年以内に請求しなければなりません。
遺留分侵害額請求権は、相続が開始したこと及び遺留分を侵害する遺贈や贈与などがあったことを遺留分権利者が知ってから1年の間に行使しないと時効により消滅してしまいます。
なお、単に遺贈や贈与などがあったというだけではなく、これらが遺留分を侵害することまでを知っていることが必要です。
注意したいのは、判例によると遺言の無効が争われている場合でも、遺留分減殺請求権を行使しなかったことがもっともだと首肯しうる特段の事情が認められない限り、時効は進行するということです(最高裁判所昭和57年11月12日判決)。
そのため、遺言の無効を争うとしても、予備的に遺留分侵害額請求権を行使しておくことが大切です。そうしておかなければ、遺言の無効が認められなかった場合に、遺留分すら請求できないといった事態が生じてしまうおそれがあります。
遺留分侵害額請求権は、相続が開始したことや遺留分を侵害するような遺贈や贈与などがあったことを遺留分権利者が知らなくても、相続が開始してから10年が経過すると遺留分侵害請求権消滅します。
では、遺留分侵害額請求権の時効を止めるにはどうしたら良いのでしょうか。
遺留分侵害額請求権の時効を止めるためには、相手方に対し、下記の事項を記載した通知書を配達証明付内容証明郵便で送りましょう。
配達証明付内容証明郵便にする理由は、後に「そもそも通知書なんて届いていない」「遺留分侵害額請求を行使するなど書いてなかった」などと争いになった場合に証拠として使えるからです。配達証明を付けることで、通知書が相手方に届いたことを証明できます。
また、内容証明を付けることで、通知書が遺留分侵害請求権を行使する内容であったことを証明できます。
遺留分侵害額請求権を行使したことで発生する金銭支払請求権は、遺留分侵害額請求権とは別の権利として、5年で時効にかかってしまいます。
つまり、遺留分侵害額請求権を行使しても、その後5年間何もしなければ、金銭請求はできなくなってしまいます。
5年以内に交渉がまとまらずに時効にかかってしまいそうな場合は、遺留分侵害額請求権に基づく金銭の支払いを求める裁判を起こすことで時効を止めることができます。
従来の遺留分減殺請求権では、贈与などを受けた財産そのものを返還するという「現物返還」が原則で、金銭での支払いは例外的な位置付けでした。
これに対し、現在の遺留分侵害額請求権では、「現物返還」ではなく「金銭請求」に一本化されました。この金銭請求権は5年で時効にかかることになります。
以上遺留分侵害請求権についての期限について述べてきました。
行使の意思についてはとにかく迅速に行う必要があります。
行使すると決めたのであれば、最低限弁護士に内容証明を作成してもらいましょう。
自分でやってみたものの、遺留分侵害請求の時効を止められないような文章を送っても効果は得られませんので。
まずは当事務所の初回無料相談をご利用ください。
事案に即したアドバイスをさせていただきます。
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当サイトでは、相続問題にまつわるお悩みに対して、弁護士の視点で解説をしています。また、当事務所にて携わった事案のポイントも定期的に更新しています。地元横須賀で、「迅速な解決」を大切に代理人として事件の解決に向けて取り組んでいます。
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