相続放棄の失敗
亡くなった被相続人の方に借金などマイナスの財産がある場合、相続放棄をすることが真っ先に浮かぶかと存じます。
この相続放棄ですが安易に利用すると手痛いしっぺ返しに合う場合もあるので注意が必要です。
以下具体例と一緒に見ていきましょう。
1 次順位の相続発生させてしまった・・・
例えば、夫婦と二人の子供という4人家族のお父様が亡くなり、その他の3名が相続人というケースで考えてみましょう。
よく言われる一時相続なので、お母様が亡くなってから兄弟でどうするかを考えることにして、子供達二人が相続放棄をした。一見、何の問題もないようにも見えますが、そこは大きな間違いとなります。
実は子供達が相続放棄した結果、父の兄弟達が父の相続人になってしまうのです。
疎遠な兄弟などは人間関係を気にする必要がないため、要求を下げず法定相続分を当然のように要求してきます。そうなってしまうと最悪お父様が遺した不動産などを売却する必要が出てきます。
では、どうすれば良かったのでしょうか。
話は簡単であり、相続放棄ではなく、単に三人でお母様にすべてを相続させるという遺産分割協議書を作成してもらえばよかったということになります。
わざわざ裁判所に出向いて、色々な書類を集めて相続放棄を行ったのに、それが徒となってしまいました。非常にもったいないし、とりかえしのつかない失敗と言えます。
逆に、お父様が借金などマイナスの財産しかない場合、お父様のご兄弟に負債を負わせる可能性もあります。
このような場合当事務所では、相続放棄の申述と同時に、次順位の相続人にお手紙を送り、相続放棄をしないといくらくらいの負債を負ってしまう、相続放棄をしてください、とお伝えしています。
それでもご兄妹が相続放棄をしないのであれば、それは本人の責任と言えるかと思います。
2 手続をきちんとしなかった・・・
Googleなどで簡単に情報収集できる現代では、殆どいませんが、たまに「放棄するから」と思っているだけで、何もしない方がいらっしゃいます。
残念ながらどうにもなりません。
相続放棄をするためには裁判所が定めた方法で裁判所に対し申述する必要があります。
特に申述期間は3ヶ月短く、戸籍等の取得には時間を要するため、決断したらすぐに実行しなくてはなりません。
たまに、あと一週間でやってくれ、などといって来る方もいらっしゃいますが、そんな簡単な話ではないのです。
どうしても間に合いそうもないときは「期間の伸張」という手続を裁判所ですることも可能です。
もし、今「自分のことだ」と思ったら、すぐに最寄りの家庭裁判所か相続に強い弁護士へ相談に行ってください。
3 法定単純承認に当たる行為をしてしまった
法律の規定など何も知らず、亡くなった被相続人の方の口座から自分の生活費を支払った後に、借金があることが判明したので、相続放棄をしたい。といっても相続放棄できるかは非常に微妙となってしまいます。
すべての財産が判明するまで遺産には手を付けない
これが何よりも重要です。万全を期すなら葬儀もお香典や自費での立て替えをした方が安全とも言えます。
以上述べてきましたが、相続放棄は安易にすると取り返しが付かない場合があります。
まずは専門家である弁護士に相談することでリスクを減らすことが重要です。
是非一度当事務所の初回無料法律相談をご利用ください。
この記事の執筆者
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当サイトでは、相続問題にまつわるお悩みに対して、弁護士の視点で解説をしています。また、当事務所にて携わった事案のポイントも定期的に更新しています。地元横須賀で、「迅速な解決」を大切に代理人として事件の解決に向けて取り組んでいます。
初回相談は無料でお受けしておりますので、お悩みの方は、お一人で抱え込まず、ぜひ一度相続に注力する弁護士にご相談ください。
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