相続財産に不動産がある場合の解決方法と実務的ガイド
不動産相続の仕組みと放置することによる重大なリスク
相続が発生すると、家や土地などの不動産は現金のように分けられないため、遺産分割協議が整うまでの間、法定相続人全員による「共有」状態となります。
この共有状態を放置すると、以下のようなリスクが発生します。
・所有権や活用の制限
不動産全体を売却したりするには、原則として相続人全員の同意が必要です。
一人でも反対する相続人がいれば、売却はできず計画は実現できません。
・経済的負担の継続
不動産を所有している限り、毎年の固定資産税や修繕費、管理費などのコストが発生し続けます。
これらの費用支払いを怠る相続人がいると、他の相続人が立て替えざるを得ず、トラブルの原因となります。
・権利関係の複雑化(数次相続)
解決しないまま次の相続が発生すると、持分が次世代へ細分化され、一つの土地に10人以上の相続人が存在するケースもあります。
相続人が増えるほど意思決定は困難になり、連絡が取れない者がいると、裁判所を通した時間と費用の多大にかかる手続きが必要になります。
共有状態を解消するための「遺産分割」の3つの手法
不動産の共有状態を解消し、円満に解決するための具体的な遺産分割の手法は主に3つあります。
・現物分割(土地などを分けて所有する)
広い土地を分筆したり、建物を区分けしたりして、各相続人が単独で所有する方法です。
各自が独立して利用できますが、土地の形状によっては公平な分割が難しく、分筆登記や測量などのコストが発生するケースもあります。
・換価分割(売却して現金を分ける)
不動産を売却し、その代金を持分割合に応じて分配する方法です。
誰も住まない場合に有効で、最もスムーズに不動産を清算できる手段といえます。
・代償分割(特定の人が継ぎ、現金を支払う)
相続人の一人が不動産を取得する代わりに、他の相続人に対してその持分に見合う「代償金」を支払う方法です。
実家を残したい場合に選ばれることが多いですが、取得する相続人に、代償金を支払うための資金力が必要になります。
ケース別:よくあるトラブルと実務的な解決策
実際の相続現場で直面する個別具体的な悩みに対し、専門的な知見に基づいた対処法は以下の通りです。
・自宅を取得したいが、多額の代償金が払えない場合
不動産の評価方法は複数あるため、自己に有利な査定方法を選択し、評価額を下げることで代償金を抑える交渉が可能です。
また、被相続人の生前であれば、あらかじめ遺言書を書いてもらい、家を残したい気持ちを伝えておくことが悪いことではありません。
・不動産の評価額(査定額)に納得がいかない場合
提示された査定額を鵜呑みにせず、再度ご自身で査定をしてもらうことが重要です。
再調査により価格を見直すことで、結果として数千万円の遺留分を獲得できた事案もあります。
・土地の境界が不明で売却が進まない場合
不動産を売却するためには土地の境界を画定させる必要があるため、まずは測量士に調査を依頼することをおすすめします。
隣地の確定ができない場合は、筆界特定制度や境界確定訴訟を行う必要があります。
・「負動産(空き家)」を処分したい場合
山の上などで自動車が通行できない場所にあるなど売却が困難な物件でも、不動産会社と懇意にしている弁護士であれば、買い取りをお願いできる場合があります。
・相続人の一部が行方不明、または名義が古い場合
行方不明者がいる場合は、弁護士に依頼して戸籍を調査し現住所を把握できます。
海外に行き今現在どうなっているかわからない場合は、「不在者財産管理人制度」を利用することとなります。
祖父母名義のままになっている土地は、実際の相続の通りにしっかりと登記していく必要があります。
有利な解決とトラブル防止のためのポイント
不動産相続は金額が大きく、感情的な対立も生じやすいため、以下の準備や対策が推奨されます。
・不動産に強い専門家(弁護士)の選定
不動産に精通し、不動産業者とも懇意にしている弁護士に依頼することで、事前に不動産の価値を把握でき、買い取る業者を見つけてその金額まで確定させることが出来るのです。
・売却時の諸経費・税金の把握
不動産を売却する際には、譲渡所得税や住民税などの税金が発生します。
さらに、仲介手数料、登録免許税、司法書士報酬などの費用もかかります。事前に相続人間で費用の負担を決めておかなければ、後から支払いでトラブルになる可能性があります。
・生前からの事前対策
遺言書(公正証書遺言など)を作成しておくことで、特定の相続人に単独で相続させる内容を記し、共有状態によるトラブルを未然に防ぐことができます。
また、生前贈与を活用して将来的な共有状態を回避することや、遺産分割協議書を作成して合意内容を文書化しておくことも争いを避けやすくなる有効な対策です。
以上、相続財産に不動産がある場合について説明してきました。
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相続を専門とする弁護士として、事案に即した適切なアドバイスをさせていただきます。












