親の通帳からの使い込みは取り戻せるか
目次
親の通帳からの使い込みについては、仮に犯罪が成立しても、刑法244条・251条により、刑罰が免除されるため、刑事責任の追及は困難です。
ただし、刑罰は科されないとしても、民事上の損害賠償請求や不当利得返還請求は可能です。
以下説明していきます。
1 親の通帳からの使い込みが問題となるケース
親の預貯金の使い込みが問題となる典型的な事例は次の2つに分けられます。
子供が親から通帳を預かり、財産管理を任されていた
このパターンでは、子供は一応親から財産管理を任されています。
したがって、親のために必要な支出であれば、基本的に問題はありません。
しかし、この場合に、自分のために預貯金を使い込んでしまった場合は問題となります。
また、子供が自分自身ではなくても、他人のために親の預貯金を使い込んでも問題となります。
子供が勝手に親の通帳を持ち出したケース
このパターンは、子供が親から財産の管理を任されていません。
いくら子供であっても、本人の承諾なく通帳を持ち出し使い込むのは問題があります。
2 預貯金の使い込みを取り戻すことはできる?
民事上の責任を追及していくことができます。
具体的には不法行為に基づく損害賠償請求や不当利得返還請求といった手段を使って使い込んだ額を取り戻していくこととなります。
相手も簡単には認めませんので、民事訴訟にて取り返すこととなりますが、遺産分割調停の中で実質的に話し合うことも可能です。
①遺産分割調停
まずは、遺産分割調停を申し立てましょう。
この手続のメリットは、使い込み以外の遺産分割も同時に行えることです。
ただし、相手が使い込みについても認め、遺産分割調停での話し合いに応じることが必要です。
相手が「そんなことはしていない」と言った場合はもちろん、「使い込みがあったとしても遺産分割の対象にはならない。この調停で話し合いをする意思はない。」と言われてしまうと以後使い込みについては調停の対象外となり、下記の②不法行為に基づく損害賠償請求訴訟、不当利得返還請求訴訟を適せざるを得なくなります。
実際の調停では、どうせ訴訟をするのであればまとめて解決したいと考える人は多く、トータルでの解決となることがありますので、まずは遺産分割調停から始めることをおすすめします。
不法行為に基づく損害賠償請求訴訟、不当利得返還請求訴訟
相手方が、使い込みを認めない、もしくは、遺産分割調停ではその点について話し合う意思はないとの立場を取ると、この不当利得返還請求訴訟を選択する他なくなります。
民事訴訟ですので、証拠に基づいてしっかりと自己の主張を法律的にしていく必要があります。
なんとなく500万円使い込まれたなどでは到底勝訴できず、いつ、いくらの預金が、どこの金融機関から引き出されて、被相続人のためには費消されていないことを証明しないとなりません。
そのためには、被相続人の日常における金銭収支、使い込まれた当時の被相続人の意思能力の有無・程度、引き出されたATMや支店と使い込みをしたと思われる相続人の自宅や勤務先との距離などを立証していく必要があります。
以上の主張・立証をするには弁護士への依頼が不可欠といえます。
以上、親の通帳が使い込まれていた場合に取り戻す方法を述べてきました。
この事案は訴訟を念頭に置く必要があるため、弁護士の力を借りる必要性が高いといえます。
ご自身だけでお悩みになるのではなく、専門家である弁護士に相談しましょう。
是非当事務所の初回無料相談をご利用ください。
相続人注力する弁護士ならではのアドバイスをさせていただきます。
この記事の執筆者
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