親の事業を継いだきょうだいが遺産を分けてくれない場合どうしたらよいか
親の事業を継いだ相続人が、財産を開示してくれない、いつまで経っても遺産分割をしてくれないということが起きます。
遺産を事業で利用していたり、また、自宅として居住していたりすると遺産分割したくてもできないというケースが起こり得ます。
特に、事業が上手くいっていないときは尚更です。
そうはいっても、事業を承継しなかった相続人は、親からの援助もほとんど受けず、自分の力で生活してきたのに、長年に渡り親の財産に頼り生活をしてきた後継者に対し、せめて相続の場面においては、法律に従った正当な分配を受けたいと考える方が多くいらっしゃいます。
親の事業を継いだきょうだいが遺産を分けてくれない場合、どのように対応していけばよいのでしょうか。以下説明していきます。
1 遺産調査
まず遺産の情報を持っている相続人に対し、遺産を開示してもらいましょう。
遺産を開示してもらえない場合には、ご自身で遺産の調査を行う以外に、遺産の内容を把握する方法がなくなってしまいます。
相続人であれば、銀行や証券会社などに照会することで、遺産の内容を把握できる部分はあります。しかし、全ての金融機関を網羅的に調べることはできず、漏れが生じてしまうことがあります。
また、箪笥預金など、調べることが難しい遺産もあります。
そのため、遺産分割についての交渉を始める前に、まずは相手に遺産についての資料の開示を求めていくのが定石です。
自分で遺産を調査する場合顧問税理士に会社の資料を開示してもらうことも有効です。
確定申告書には会社の財産が記載されており、遺産の手掛かりとなります。
また、個人事業主であれば、保険等もわかることになります。
2 法定相続分による分配を拒否されている場合
遺産の内容がはっきりとしたら遺産分割の交渉を進めていくことになります。
事業を継いだ相続人が、遺言がないにもかかわらず、法定相続分に従った遺産分割を拒否されることがあります。
このような場合、まずご自身の希望を決めましょう。
親御さんが経営してきた会社を存続させたいのであれば、ある程度妥協する必要がありますし、会社がどうなろうともらうものはもらいたいというのであれば調停、審判と手続を進めていくことも有効となります。
3 代償金を用意してもらう方法
不動産や株式などが遺産の場合、相手方が代償金を用意しなければなりません。
代償金を用立てるには下記の方法があります。
① 不動産を売却してもらう
複数の不動産がある場合には、一部を売却してもらい代償金を用意してもらうことが考えられます。
② 借入をしてもらう
相手が法人を継いでいる場合、法人のメインバンクから金銭を借りてもらい代償金を用意してもらうことが考えられます。
貸し手がいるなら相続人が個人として借り入れる方法もあります。
③ 分割で支払いを受ける
代償金を分割で受け取るという方法もあります。
この場合、相手が取得する不動産に抵当権を設定させてもらえるように交渉すれば、万が一支払いを怠った場合、相手の不動産を競売して代償金を一括回収することが可能です。
以上、親の事業をきょうだいが継いだが遺産分割してくれないケースについて説明してきました。
文章にするのは簡単ですが、実際かなり紛糾化することが多いです。
まずは専門家である弁護士に相談しましょう。
是非当事務所の初回無料相談をご利用ください。
事案に即したアドバイスをさせていただきます。
この記事の執筆者
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