経営承継円滑化法とは

経営承継円滑化法は、遺留分の特例を定めるものであり、

 

①遺留分算定の基礎財産から除外する「除外特例」、

 

②遺留分算定の基礎財産に算入する際の価額を固定する「固定特例」
の2種類の特例があります。

 

1 特例の内容

①除外特例について

 

経営者が後継者に対して生前贈与した自社株式について遺留分算定の基礎財産に算入しないというものになります。
これにより、遺留分侵害の対象から外れ相続によって自社株式が分散することを防止できます。

 

②固定特例について

 

経営者が後継者に対して生前贈与した自社株式について、遺留分算定の基礎財産に算入する価額を合意時点の価額とすることをあらかじめ合意することができるというものになります。

 

これにより、後継者は、将来の価値上昇による遺留分の増大を心配することなく経営に専念できます。

いずれも、後継者にスムーズに引継ぎをすることで、相続時の紛争により会社経営に支障をきたさないようにするための制度となります。

 

2 特例が適用の要件

 

①中小企業であって、3年以上継続して事業を行っている非上場会社

 

②特例を受ける先代経営者は、会社の代表者(または過去の代表者)である

 

③先代経営者の推定相続人のうち、少なくとも一人に対して会社の株式を贈与している

 

④後継者は、先代経営者の推定相続人であり、現在において、会社の代表者である

 

⑤先代経営者からの贈与等により株式を取得し、会社の議決権の過半数を保有している

 

⑥先代経営者の遺留分を有する推定相続人全員の合意

 

⑦合意の対象の株式はないと後継者が議決権の過半数を確保することができないこと

 

⑧以下の場合に非後継者がとることができる措置の定めがあること
・後継者が合意対象の株式等を処分した場合
・先代経営者生存中に後継者が代表者でなくなった場合

 

3 手続

 

この特例に係る合意が効力を生じるには、下記の手続を踏む必要があります。

 

①合意後、1か月以内に、経済産業大臣の確認を申請する

 

②経済産業大臣の確認を受けてから1か月以内に、家庭裁判所の許可の申立てを行う

 

となります。

 

以上説明してきましたが、実際には法律的な専門知識が必要となりますので、事業承継に詳しい弁護士によく相談をして手続も任せたほうが無難と言えます。

この記事の執筆者

島武広
島武広島法律事務所 代表弁護士(神奈川県弁護士会所属)
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