亡くなった親の事業を継いだきょうだいが遺産分割をしないときの対応
実家が家業をしており、きょうだいがその事業を継いでいる場合、亡くなった親の遺産を分けてしまっては経営が成り立たないため、遺産分割事態を避けることがあります。
そういったときの対応法をここでは説明していきます。
1 揉める原因
親の事業を継いだきょうだいが、遺産分割の話し合いを避けるということがしばしば起こります。
上でも述べた通り、きょうだいとしては、遺産分割をしてしまうと事業が継続できない、もしくは、事業に重大な影響が出てしまうことをわかっているため、そのような対応になります。
事業が上手くいっていたり、遺産分割をしても事業に影響が出ないのであれば、そのようなことにはなりません。
ですので、こういった状況になっているなら早く動かないとならない状況といえます。
法律上、事業を継いでいようがいまいが、法定相続分は平等です。
相続を希望するのであれば、話を進めていく他なく、ためらっていても状況は変わりません。
事業継続を望むのであれば、遺産を開示してもらった上で、影響のない範囲での遺産分割やその上でのきょうだいに譲ることも可能です。
とりあえず、遺産の確認をして損はないといえます。
2 遺産の調査
遺産を開示するように求める
とりあえず、何が遺産となっているのかを確認しましょう。
きょうだいが任意に開示に応じない場合には、ご自身で調査することになります。
また、調停を申し立てることで、裁判所から開示するように説得してもらうことも可能です。
裁判所を介せば、調査嘱託を利用して調べることも可能です。
事業の決算書や個人事業主であれば確定申告書を開示してもらうことで、財産がどのようになっているか把握することができる場合が多いです。
会計関係の書類は早い段階で取得しましょう。
会社に顧問税理士がいるのであれば、アポイントを取りましょう。
相続人であることを税理士に証明すれば、開示してくれるはずです。
2 法定相続分による分配に応じない場合
遺産の範囲が確定したら、あとはどのように分けるかを決めることになります。
遺言がないのであれば、法定相続分とおりに分割が原則です。
法定相続分とおりに分割するとしても、何をどのように分けるかも決める必要があります。
可能な限り、事業を行っているきょうだいに事業に必要なものを相続させ、事業に関わっていない相続人は事業と無関係の遺産を相続するようになることが通常です。
まず、ご自身の考える遺産分割案を提案しましょう。
その他相続人の意見を聞いて、協議での解決を目指していきます。
それを繰り返すことで、どこまでギャップが埋まるか判明し、その内容で納得できれば解決、無理な場合は調停、審判に進むことになります。
3 代償金が必要な場合
自宅不動産などが事業に関わっており、どうしても事業を継いだきょうだいに相続させなくてはならないときは代償金を支払ってもらうことになります。
ただ、ここですんなり代償金が用意できるなら遺産分割自体が揉めることなく進むはずであり、そうではないときは代償金が用意できないことが殆どです。
代償金がどうしても用意できない、しかも他の相続人はそのことを考慮する遺産分割をする気はないというときは、どんなに事業に必要でも売却してもらう他ありません。
そこまでするかは、それまでの人間関係などにもよりますが、請求するなら腹を決めましょう。
不動産はどうして手放せないという場合、借入をしてもらうという方法もあります。
代償金が必要ということは担保に余剰があるはずであり、その分を利用して更に借り入れをしてもらうことも可能です。
ただ、代償金を用意できない状況であるのに、自宅不動産の担保に余裕があるということは想定しづらいといえます。
事業が継続できなくなれば、会社に融資している金融機関の債権が焦げ付くことになります。
金融機関としては、それを許容できないでしょうから、事業をしているきょうだいに相談させることで代償金を借り入れできる場合もあります。
特に、メインバンクに相談させることは有効といえます。
他には分割払いを認める方法もあります。
ただ、うまくいっていない事業が好転することはあまりないため、出来れば避けたいところです。
ただ、親御さんが頑張って維持してきた会社が廃業となることは避けたいのが本音でしょうから、場合によっては良い落としどころになるともいえます。
事業をしているきょうだいからの提案であれば、抵当権を設定してもらうなどで履行可能性を上げることもできます。
以上。亡くなった親の事業を継いだきょうだいが遺産分割をしたがらない場合について説明してきました。
金融機関との折衝、不動産の価値の見極め、株式の評価など通常の相続とは比較にならないくらい難易度は上がります。
そういった事情をお抱えであれば、相続を専門とする弁護士への相談は必須といえます。
是非当事務所の初回無料相談をご利用ください。
長年相続事件を扱ってきた経験とノウハウから、適切なアドバイスをさせていただきます。
この記事の執筆者
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初回相談は無料でお受けしておりますので、お悩みの方は、お一人で抱え込まず、ぜひ一度相続に注力する弁護士にご相談ください。
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