Q&A 被相続人の生前、相続放棄の意思を記載した文章にサインをしたが有効か?またその後、翻って財産の相続を主張したい場合、可能か?
〇この記事を読むのに必要な時間は約2分です。
質問
被相続人の生前に、「遺産はいりませんので、相続権は放棄します。」という署名にサインをした文章を作成したとき、そのような文章は有効と言えるか。
その後、被相続人の財産を相続したいと主張しているのですが、このような主張は可能か?
解答
生前の相続放棄
相続放棄は、現行民法下では、相続の開始後においてのみ認められます。
法律上認められていないから放棄は出来ないということになります。
したがって、本問のような「相続権は放棄します。」という内容が書かれた書面を、被相続人が死亡する前に作っていたとしても、その書面どおりの効力は生じないことになります。
生前の相続放棄と同様の効力を発生させるための方法
それでは、本問のような場合に相続財産がわたらないようにするには、どうしたらよかったでしょうか。
まずは、被相続人が、対象者に相続財産をわたらないようにする遺言書を作成することが必要になります。
その対象者ではない相続人にすべての財産を相続させるなどの内容の遺言を残せば、自動的に遺産を相続することにはなりません。
もっとも、その場合であっても、対象者の方には遺留分があります。
ただ、この遺留分については、生前であっても、家庭裁判所の許可を得た上で、放棄をすることができます。
このように、遺言書の作成と生前の遺留分放棄制度を併用することで、生前に相続放棄をした場合と同様の効力を生じさせることができます。
生前の対策について、ご不明な点がありましたら、当事務所まで一度ご相談ください。
遺留分の放棄は相当な理由がないと受け入れないのが通常です。
その提案を受け入れるような人が遺言で相続させないとすることは稀と言えます。
この記事の執筆者
-
当サイトでは、相続問題にまつわるお悩みに対して、弁護士の視点で解説をしています。また、当事務所にて携わった事案のポイントも定期的に更新しています。地元横須賀で、「迅速な解決」を大切に代理人として事件の解決に向けて取り組んでいます。
初回相談は無料でお受けしておりますので、お悩みの方は、お一人で抱え込まず、ぜひ一度相続に注力する弁護士にご相談ください。
最新の投稿
- 2023.10.24解決事例葬儀・墓などの費用全額を遺産から支出してもらい残額を法定相続分で分割して解決した事案
- 2023.10.24解決事例調停にて使途不明金を追求して流動資産のすべてである数千万円を獲得して解決した事案
- 2023.05.31解決事例先妻の子に相続放棄してもらい解決した事案
- 2023.04.24解決事例話し合いのできない相手方と複数の相続案件を調停にて代償金で解決した事案
- Q 遺産の不動産に住みついている相続人がいます。どうすればいいでしょうか。
- Q 遺産の中に空き家の不動産があります。処分したいのですがどうすればいいでしょうか。
- Q相続不動産が兄弟の3人の共有となっています。不動産を売却し、代金を分配してもらいたいと考えているのですが、他の兄弟が売却に反対している場合、どうすれば良いでしょうか。
- 相続財産である不動産について、法定相続人の一人が法定相続分にしたがった相続人3人の共有名義で相続登記をしてしまいました。他の2名に相当額を支払い、不動産を単独取得したいと考えているのですが、共有登記をされてもできるでしょうか。
- Q遺言により不動産を単独相続した長男に対し、遺留分請求をしたところ、長男が遺留分相当の金銭を支払えないため、不動産を共有することになりました。この状態で不動産を売却したいのですがどうすればよいでしょうか。
- 生命保険金は相続財産に含まれますか?
- 相続におけるクレジットカードの取り扱いについて気を付けることはありますか?
- Q&A ハンコ代について教えてください。相場はありますか?
- 賃料収入がある不動産について相続まで待つのと生前贈与のどちらがメリットが大きいといえるでしょうか?
- Q&A 「死んだらあげるから」という口約束は有効?【弁護士が解説】