遺産がなくても遺留分減殺請求を受けることがあるのか

先に答えを言う遺産がなくても相続人が遺留分減殺請求を受けることはありえます。

生前贈与の態様によりこのような問題が生じます。

以下、説明していきます。

 

生前贈与は遺留分算定において受贈者が①相続人以外か②相続人かで、以下のとおり取り扱いが異なります。

 

相続人以外の場合

民法1030条により、相続開始前の1年間の贈与、または、当事者双方が遺留分権利者に損害を加えることを知って贈与をしたとき、のみ遺留分算定の基礎に算入されます。

相続人の場合

特別受益に該当する限りは、何年前のものであっても遺留分算定の基礎に算入されます。

 

遺産がない場合に遺留分減殺の対象になるか。

次に、遺産がない場合に遺留分減殺の対象になるかどうかについては、判例上、「右贈与が相続開始よりも相当以前にされたものであって、その後の時の経過に伴う社会経済事情や相続人など関係人の個人的事情の変化をも考慮するとき、減殺請求を認めることが右相続人に酷であるなどの特段の事情のない限り」遺留分減殺の対象になるとされています(最三小判平成10年3月24日)。

 

そして「特段の事情がある場合」とは、

・贈与の時点では被相続人に多額の財産があり遺留分を害するおそれは全くなかったが、その後、被相続人がその後事業に失敗するなどして、相続開始時に財産がなかった

・現在の経済状態において、遺留分減殺を認めることが過酷な結果をもたらす場合

などの場合には、「特段の事情がある場合」にあたるのではないか、と考えられています。

 

遺留分算定の基礎となる財産の評価時点

遺留分算定の基礎となるとして、その受像財産の評価額をいつの時点のものとして、算定するかについては、判例上、相続開始時を基準に評価すると考えられています(最一小判昭和51年3月18日)。

 

以上のように、被相続人の死亡時には、相続財産がなかったり、遺言がない場合にも、生前贈与を含めると遺留分を侵害している可能性があります。

そこで、生前贈与が多い状態で、遺言を作成する場合などには、注意が必要といえます。

 

上記のような可能性があるのであれば、まずは専門家である弁護士に相談しましょう。

一般の方だけの考えで実行してしまうと、残された人間に禍根を残し、場合によっては生活に大きな支障を出してしまいます。

是非当事務所の初回無料相談をご利用ください。

相続事件を多数扱ってきた経験とノウハウから適切なアドバイスをさせていただきます。

この記事の執筆者

島武広
島武広島法律事務所 代表弁護士(神奈川県弁護士会所属)
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