相続放棄と形見分け
亡くなった被相続人が借金などの不の財産がある場合、相続放棄することが殆どだと思います。
それとは別に被相続人の遺品を形見分けしたいけど大丈夫でしょうか?という相談を受けることがあります。
ここでは、相続放棄と形見分けについて説明していきます。
先に法律的に回答してしまいますと、民法921条3号の財産の「隠匿」に該当するかどうかの問題となります。
これに該当するとなれば、「単純承認」したことになり、債権債務を全て相続する結果になります。
形見分けしたものが、ダイヤモンド貴金属であったり、高級腕時計などであれば、相続放棄すれば、形見分けで受け取れないことになります。
それに対して、思い出の写真であったり、価値のない衣類とか、財産的価値のないものであれば問題ないことが多いといえます。
限定承認(民法922条)という方法もあります。
限定承認とは、相続を承認するものの、債務支払いの限度はプラスの範囲でしか負わず、マイナスが出れば引き受けない、という制度です。
この手続きには、相続人全員の承諾が必要です(923条)。また、相続開始を知ったときから3か月以内に家庭裁判所に対して限定承認申述書を提出する必要があります(924条)。
相応の煩雑さが要求されます。
限定承認すると、家庭裁判所が選任した鑑定人の評価額を相続人が弁済することで競売に代わり、貴金属や腕時計を手に入れることができます(932条)。
被相続人が債務超過であり、かつ、どうしても受け継ぎたい物がある場合、他の相続人に同意をもらえるのであれば、限定承認をすることも検討しましょう。
以上、相続放棄と形見分けについて説明してきました。
文章にすると上記のとおりですが、具体的に当事者となれば、そう簡単に判断できないことが多いでしょう。
まずは専門家である弁護士に相談しましょう。
是非当事務所の初回無料相談をご利用ください。
相続問題を多数扱ってきた経験とノウハウから適切なアドバイスをさせていただきます。
この記事の執筆者

- 島法律事務所 代表弁護士(神奈川県弁護士会所属)
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