被相続人が公務員であった場合の相続について
目次
公務員の方は、その安定性からローンが組みやすく、各種福利厚生も充実しているため、多額の財産を残す傾向にあります。
そういった点について以下説明していきます。
1 公務員・元公務員の財産の種類
(1)預貯金
被相続人が公務員の場合、給与天引きで共催に積み立てるなど出来、利息も高利率となるため、多額の預金を残している場合があります。
(2)不動産
公務員はローンを組みやすいので、不動産を所有していることが殆どです。
被相続人の所有不動産について分からない場合は、固定資産課税台帳(名寄帳)を取得して調べることもできます。
不動産については、固定資産評価額、路線価、公示価格、取引価格などを参照して評価額を決めていくことになります。
(3)退職金
①被相続人が受け取った退職金
公務員は退職金も高額なものとなることが多いです。
退職直後であれば、高利率の提携定期預金などに預けている場合もあります。
②死亡退職金
公務員が就労中に死亡したことによって退職した場合には、死亡退職金が支払われます。
しかし、遺族が受け取ることが定められている遺族固有の財産といえますので、遺産分割の対象にはならないと考えられています。
(4)退職年金
①被相続人が受け取る年金の未支給分
遺族固有の権利として請求するものですので、遺産分割の対象にはならないと考えられます。
③遺族年金等
これも遺族固有の権利ですので、遺産分割の対象にはなりません。
(5)財形貯蓄・共済貯金
財形貯蓄とは、勤労者財産形成促進法に基づき、給与からの天引きで行う貯蓄の制度です。
また、公務員の場合、これとは別に、共済組合が運営している、共済貯金という制度もあります。
共済貯金については、金利が通常の財形貯蓄より高いことから、利用している人が少なくないと思われます。
(6)生命保険
公務員は、大抵団体割引で一般よりも安い保険料で生命保険等に加入できるため、かなりの確率で充実した生命保険に加入しています。
中には、給与から自動的に保険料を天引きする場合がありますので、給与明細などが手掛かりとなります。
①死亡保険金
死亡保険金は指定された受取人固有の権利ですから、原則として遺産分割の対象にはなりません。
ただし、死亡保険金が遺産の大部分を占める場合は遺産に持ち戻さなくてはならない場合もあります。
②解約返戻金
被相続人が定期金給付を受け取る形態の生命保険では、被相続人の死亡によって契約が終了し、解約返戻金が発生する可能性があります。
これは、被相続人が受け取るはずの財産ですので、遺産分割の対象になります。
③満期保険金
満期保険金は、被相続人の財産ですので、遺産分割の対象になります。
(7)株式・投資信託
公務員だからといって、皆がやるわけではありませんが、投資をしている場合は証券会社や信託銀行などに問い合わせをすることになります。
2 遺産分割の手続き
遺産分割の手続きは、一般的に、以下の流れで進行します。
①協議:相続人全員で話し合う。
②調停:家庭裁判所の手続きで、調停委員に間に入ってもらって話し合う。
③審判:家庭裁判所の手続きで、裁判官に判断してもらう。
多くの場合、協議で済みますが、寄与分、特別受益や不動産に相続人の一人が済んでいる場合などでは、調停、審判となることが多いです。
また、相続人の一人が遺産を管理していて、使途不明金が生じている場合も紛争化しやすいといえます。
3 相続税申告
財産が多額に上る場合、相続税申告をする必要があります。
相続税申告が必要なのは、葬儀費用等を控除したうえで、相続財産の合計額が3000万円+(600万円×相続人の数)を上回る場合です。
これを超えれば相続税の申告が必要になり、財産が多ければ多いほど、税率も高くなっていきます。
また、各種特別控除などを利用することで、相続税を減額することができます。
そのあたりは税理士に相談することが肝要です。
当事務所では、提携する信頼できる税理士の方を紹介させて頂いております。
4 まとめ
以上、公務員の方が被相続人の場合について述べてきました。
公務員の方だからといって、大きく変わるわけではありませんが、注意すべきことがあるのは事実です。
公務員の方が被相続人の相続でお悩みでしたら、是非当事務所の初回無料相談をご利用ください。
事案に即したアドバイスをさせていただきます。
この記事の執筆者
-
当サイトでは、相続問題にまつわるお悩みに対して、弁護士の視点で解説をしています。また、当事務所にて携わった事案のポイントも定期的に更新しています。地元横須賀で、「迅速な解決」を大切に代理人として事件の解決に向けて取り組んでいます。
初回相談は無料でお受けしておりますので、お悩みの方は、お一人で抱え込まず、ぜひ一度相続に注力する弁護士にご相談ください。
最新の投稿
- 2024.10.28年金分割における3号分割について
- 2024.09.27遺産分割問題
- 2024.09.03親の事業を継いだきょうだいが遺産を分けてくれない場合どうしたらよいか
- 2024.09.03預金の使い込みがあった場合の請求方法