売却価格 vs 評価額のズレが争点!不動産の遺産分割で時価を主張すべきケースとは
目次

0 はじめに
相続事件においては、単に相続財産を法定相続分で分けて終わりかというとそうではあり
ません。
特に、不動産の評価次第で自己に有利不利になる側面があります。
ここでは、不動産の遺産分割において、不動産の価値を時価で主張すべきケースについて
説明していきます。
1 遺産分割における不動産の評価方法
不動産の評価方法には下記の方法があり、以下で各方法の簡単な概要や特徴について解説
します。
1 不動産鑑定士の鑑定
まず、不動産鑑定士による鑑定という方法があります。
実際の事件では双方で依頼するなどということは少なく、ほとんどのケースで裁判所に調
停を申し立てた上で、裁判所が選定する不動産鑑定士に依頼して鑑定されます。
専門家による判断のため、客観性が担保されるのとしがらみがなく公平に金額が決まりま
す。
ただ、この方法を取ると、以後一切の異議は言えず、評価は固定されることになります。
調停申し立て以後に双方の評価に大きな差がある場合に用いられることが多いです。
家庭裁判所は、不動産について、相続人が裁判所に対して鑑定からの申請を受けた場合、
不動産鑑定士を選任したうえで、鑑定費用の見積もりを相続人に提示します。
相続人が見積もりを受け入れ、鑑定費用の概算額を予納すると、実際に不動産鑑定士によ
る鑑定が行われます。
鑑定をすると、原則として鑑定の結果に沿って評価の合意がなされます。
2 不動産業者による査定
不動産業者に依頼すれば、よほど偏屈な業者以外は、無料で喜んで査定してくれます。
ほとんどの事件では双方の出した査定を基準に金額が決まることが多いです。
3 固定資産評価額
4 相続税評価額
5 地価公示価格
以上の3つの方法は、市価との乖離が大きく、紛争化した事件ではまず採用されません。
親族間の関係がよく、当事者同士で金額を決める場合で、かつ、不動産を取得しない側が
知識を有していない場合に、「よくわからないけどいいかな」などというときに採用され
ることがあります。
双方弁護士がついていれば、ほぼほぼ採用されない基準です。
用いられるのは、不動産を取得する側が代償金を低くしようとする場合です。
2 不動産の評価方法の決め方
遺産分割における不動産の評価方法は、遺産分割協議または調停・審判を通じて決定しま
す。
1 遺産分割協議
基本的には、不動産の評価方法も他の分割条件と同様に、遺産分割協議における話し合い
で決定します。
当人同士がよければどのような金額でもよいのです。
2 遺産分割調停・審判
遺産分割協議で不動産の評価方法について合意できない場合には、遺産分割調停を通じて
の解決を目指します。
不動産の評価方法については、まずは各相続人が主張を提示したうえでの合意形成が目指
されますが、合意に至らない場合には不動産鑑定士による鑑定が行われます。
一方、調停でも依然として相続人同士のもめ事が解消しない場合には、調停は不成立とな
ります。この場合、裁判官が審判し、遺産分割方法を決めます。
3 時価を主張すべき場合
以上のことで大体おわかりでしょうが、時価を主張すべきはご自身が不動産を取得せずに
代償金を得る場合になります。
市価ではない固定資産税評価額などでは時価より不動産の価値が低くなるため、不動産を
取得する側が有利になります。
ご自身が不動産ではなく代償金を取得するのであれば、①不動産鑑定もしくは②不動産会
社の査定を主張しましょう。
どちらの立場でも時価を知っておいて損はないため、まずはご自身で不動産会社に最低を
お願いしましょう。
以上、遺産分割の不動産評価で時価を主張すべき事案について説明してきました。
実際にはケースごとに対応が変わってきます。
まずは当事務所の初回無料相談をご利用ください。
相続案件を多数扱ってきた経験とノウハウから、最適なアドバイスをさせていただきます
。
この記事の執筆者

- 島法律事務所 代表弁護士(神奈川県弁護士会所属)
-
当サイトでは、相続問題にまつわるお悩みに対して、弁護士の視点で解説をしています。また、当事務所にて携わった事案のポイントも定期的に更新しています。地元横須賀で、「迅速な解決」を大切に代理人として事件の解決に向けて取り組んでいます。
初回相談は無料でお受けしておりますので、お悩みの方は、お一人で抱え込まず、ぜひ一度相続に注力する弁護士にご相談ください。
最新の投稿
- 2025.12.21相続の遺産分割とは?揉めやすい不動産の評価額算出と分割方法を弁護士が解説
- 2025.12.21売却価格 vs 評価額のズレが争点!不動産の遺産分割で時価を主張すべきケースとは
- 2025.11.27デジタル資産の相続について
- 2025.11.27デジタル遺産の生前対策












