共有不動産を売りたいのに同意が得られない場合の対処法と解決策
目次
共有不動産の売却に関する基本ルール
①全体を売るには全員の同意が不可欠です。共有不動産の売却を希望する場合でも、共有者のうち1人でも同意しないときには、全体を売却することはできません。
②自分の持分だけなら自由に売却可能です。ご自身の共有持分については、他の共有者の同意を得ることなく、単独で自由に売却できます。
③資金力がある場合は、他の共有者の持分を買い取り、単独所有にしてから売却するという手段も考えられます。
放置することの危険性
①権利関係が複雑化します。時間が経てば経つほど新たな相続が発生し、権利関係がネズミ算式に複雑化して解決が不可能になります。
②経済的な負担が続きます。ご自身が住んでいなくても、固定資産税を払い続けたり、管理責任を負い続けることになります。さらに、相続したまま登記を放置すると法律違反のペナルティを受けるおそれがあり、誰か一人が固定資産税を滞納すると、他の共有者に対しても連帯責任として督促状が届くリスクがあります。
話し合いで解決できない場合の2つの方法
感情的な対立などで当事者同士の話し合いが不可能な場合、法律が用意している解決策は大きく分けて「共有物分割請求(裁判)」と「持分のみの売却」の2つになります。
①共有物分割請求
裁判所に訴えを起こして強制的に分け方を決めてもらう方法です。相手の同意は不要で、単独で訴訟を起こせます。解決までに半年から1年以上と長い期間がかかりますが、市場価格に近い高めの適正金額での現金化が期待できるため、時間がかかっても適正な金額で解決したい人に向いています。
②持分のみの売却
自分の共有持分だけを専門の不動産買取業者に売却してしまう方法です。こちらも相手の同意は一切不要です。価格は市場価格の半値以下になることもあり大幅に安くなりますが、最短数日や数週間で完了するため、数百万損してでも今すぐトラブルから解放されたい人に向いています。
適正価格での解決を目指す「共有物分割請求訴訟」
共有物分割請求訴訟とは、話し合いがまとまらないので法的に分け方を決めてくれと裁判所に求める訴訟です。
この訴訟の真の狙いは、判決まで戦うことだけではなく、交渉決裂時に命じられる「競売(強制売却)」のリスクを相手に突きつけ、交渉のテーブルに着かせることにあります。競売になれば市場価格の6割から7割程度で買い叩かれることが多く、全員が損をします。そのため、「競売で二束三文になるのが嫌なら、私の持分を適正価格で買い取るか、全員で協力して高く売却しよう」と法的根拠をもって相手に決断を迫ることができます。
もし交渉が決裂して判決まで進んだ場合、裁判所は以下のいずれかの方法を命じます。
(1) 現物分割:土地を物理的に分筆して分ける方法ですが、建物がある場合などは現実的ではありません。
(2) 代償分割:特定の人が不動産全体を取得し、他の人に持分相当額の現金を代償金として支払う方法です。
(3) 換価分割(競売):現物分割も代償分割もできない場合に採用され、裁判所の命令で強制的に売却して代金を分けます。
持分のみ売却
一般の個人が持分だけを買うことはまずないため、専門の持分買取業者に売却することになります。売却契約を結んだ瞬間にあなたは関係から離脱でき、あとは業者が他の共有者と交渉してくれます。
デメリットは価格が大幅に下がることです。買い取った業者がその後の交渉や裁判のコストとリスクを負うため、買取価格は市場価格に持分割合を掛けた金額よりも大幅に低くなります。この値下がり分は、面倒なトラブル処理を業者に丸投げする手数料だと割り切る必要があります。
持分を売却する際の注意点として、他の共有者などに極端に安い価格で売ると「みなし贈与」と判定されて高額な贈与税がかかるリスクがあるため、適正な評価額に基づく取引が必要です。また、所有期間が5年以内の場合は、利益に対して非常に高い税率が適用されるため、売却のタイミングにも注意が必要です。
まとめ
共有不動産を放置すると権利関係がさらに複雑化するため、塩漬けはリスクでしかありません。適正価格での現金化を最優先するなら弁護士に依頼して「共有物分割請求」へ進み、精神的な解放とスピードを最優先するなら「持分売却」を選択して専門業者に買い取ってもらうなど、ご自身の状況と優先順位に合わせて手段を選ぶことをお勧めします。
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