遺言を見せてもらえないときに遺留分請求はできる?弁護士が徹底解説

1.遺言書を見せてもらえなくても諦めないで

「親が亡くなったが、兄が遺言書を見せてくれない」「私には取り分がないと言われたが、実物を確認できていない」といったご相談は少なくありません。

相手の言葉だけを信じてしまうと、本来もらえるはずの遺産を失ったり、財産の全体像がわからないまま丸め込まれてしまったりする恐れがあります。

遺留分(一定の相続人に保障された最低限の取り分)を請求するためには、原則として遺言書の内容を確認する必要がありますが、見せてもらえないからといってすぐに諦める必要はありません。

相手が意図的に隠している場合でも、相続人自身の権利として、遺言書の有無や内容を自ら確認・調査する手段がいくつか用意されています。

まずは、相手のペースに流されず、冷静に確認手段を実行していくことが重要です。

 

2.相手方や遺言執行者へ書面で開示を求める

まずは、遺言書を持っていると思われる相手方に対して、書面で明確に遺言書の開示を求めましょう。

口頭や電話では「そんな話は聞いていない」と言い逃れされる可能性があるため、内容証明郵便やメールなど、記録に残る形で依頼することが大切です。

文面は感情的に責めるのではなく、「相続人として内容を把握し、遺留分について検討したいため、遺言書の写しと財産目録をご提示ください」と冷静に伝えます。

また、遺言書の中で「遺言執行者(遺言の内容を実現する人)」が指定されている場合、遺言執行者には相続人に対して遺言の内容を通知し、財産目録を交付する法的な義務があります。

遺言執行者がいることが判明した場合は、直接その執行者に対して、遺言書の写しと財産目録の交付を速やかに求めましょう。

 

3.公正証書遺言なら公証役場で検索が可能

相手が「公証役場で作った」と言っている場合や、公正証書遺言の存在が疑われる場合は、ご自身で公証役場に赴いて検索することができます。

平成元年以降に作成された公正証書遺言については、全国の公証役場がオンラインシステムで管理しているため、最寄りの公証役場で「遺言検索システム」を利用して有無を調べることが可能です。

この検索は、遺言者が亡くなった後であれば、相続人などの利害関係人が行うことができます。

検索や内容の確認(謄本の取得)には、被相続人の死亡の事実と、自分が相続人であることがわかる戸籍謄本、そしてご自身の身分証明書などが必要です。

公正証書遺言が見つかれば、相手が隠していても自ら謄本を取得し、確実に内容を把握することができます。

 

4.自筆証書遺言なら家庭裁判所の検認を確認する

公正証書ではなく、親が自ら手書きした「自筆証書遺言」の場合、封の有無にかかわらず、家庭裁判所での「検認」という手続きを経なければ、不動産の名義変更や預貯金の解約手続きができません。

相手が勝手に開封して手続きを進めることは法律上禁じられており、もし相手が手続きを進めようとしているなら、すでに家庭裁判所に検認を申し立てている可能性があります。

検認が申し立てられると、家庭裁判から他の相続人に対しても検認期日の通知(呼び出し)が届きますので、これによって遺言の存在を知ることができます。

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検認手続きが完了すると、家庭裁判所で「検認調書」が作成されます。相続人であれば、家庭裁判所に申請することで、遺言書の写しが添付された検認調書の閲覧や謄写(コピーの取得)が可能です。

なお、法務局の「自筆証書遺言書保管制度」を利用していた場合は検認が不要ですが、法務局で「遺言書情報証明書」を取得することで内容を確認できます。

 

5.遺言書がなくても財産調査は進められる

遺言書の開示と並行して、相続人としての権利を行使し、亡くなった方の財産調査を自ら進めることも非常に重要です。

相手が「遺産はほとんどない」と主張していても、不動産の登記事項証明書や固定資産評価証明書(名寄帳)を取得することで、不動産の存在や評価額を確認できます。

また、金融機関に対して、亡くなった方の戸籍や自分の戸籍などを提示して相続人であることを証明すれば、預貯金の残高証明書や過去の取引履歴の開示を求めることができます。

取引履歴を確認することで、生前に相手方へ多額の資金援助(生前贈与)が行われていた事実や、使途不明な引き出しが発覚することがあり、これらは遺留分を計算する上で重要な手がかりとなります。

 

6.【注意】時効が迫っている場合は先に意思表示を

遺言書を見せてもらえないまま時間が経過してしまうと、遺留分侵害額請求の「消滅時効」にかかる危険性があります。

遺留分の請求期限は、「相続の開始」および「遺留分を侵害する贈与または遺贈があったこと」を知った時からわずか1年です。

「遺言書を見せてもらっていないから、まだ知ったことにはならない」と自己判断して放置するのは非常に危険です。相手から「あなたには財産を渡さない遺言がある」と聞かされた時点で、時効のカウントが始まっていると判断される恐れがあります。

正確な財産額や遺留分額が不明であっても、1年の期限が迫っている場合は、まずは内容証明郵便で「遺留分侵害額請求権を行使する」という意思表示を相手に確実に届けておく必要があります。

 

7.サインは厳禁!早めに弁護士へ相談を

相手が遺言書を見せないまま、「遺言どおりに手続きするから、ここに実印を押して印鑑証明書を渡して」と書類への署名・押印を求めてくるケースがあります。

しかし、内容を確認せずにサインしてしまうと、「自分の遺留分を放棄した」「一切の異議を申し立てない」と合意したとみなされ、後から覆すことが極めて困難になります。

相手から急かされても絶対にその場ではサインせず、「内容を確認してから検討する」と伝えて書類を持ち帰ってください。

遺言書を隠す相手との交渉は、当事者同士では感情的になりやすく、情報も偏るため非常に不利です。

弁護士に依頼すれば、公証役場での検索や金融機関への照会などを代行し、隠された財産を明らかにしたうえで、時効を管理しながら相手方と適切に交渉してくれます。不安を感じたら、取り返しがつかなくなる前に弁護士へご相談ください。

 

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相続を専門とする弁護士として事案に即した適切なアドバイスをさせていただきます。

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