遺産を開示してくれない相続人への対応

この記事を読むのに必要な時間は約5分です。

1. 遺産の開示について

まずは、開示しない相続人に強く要求していく他ありません。
とりあえず、開示しないなら裁判所の手続に移行することになるがそれでも良いかとプレッシャーをかける、出来れば弁護士からその通知を送る、というのが定石だと思われます。
そうはいっても、自分でも集められるだけの情報を集めたいと言うこともあるかと思います。
財産ごとに方法を述べていきます。

 

⑴ 不動産

不動産で一番手っ取り早いのは、固定資産税の納付書が送られてくることです。

 

ただ、開示しない相続人が納付書を受け取り、自身で納付を済ませてしまうとその他相続人は気づくことが出来ません。

 

そんな場合には、登記済証または登記簿謄本(登記事項証明書 以下略)が必要です。
登記簿謄本については、登記簿謄本交付申請書に所定事項を記載すれば、誰でも法務局で交付してもらうことができます。

 

また、どのような不動産があるか自体分からない場合は、不動産の所在する市区町村役場で、名寄帳の写しや不動産の課税台帳の写しをもらいましょう。これは所有者ごとに家屋や土地を記載しているため、不動産の情報が分かります。

 

⑵ 預金

 

被相続人の自宅に行って、昔の通帳やATMの取引明細や銀行からの郵便物で特定が出来る場合があります。

 

判明したら、すぐに口座凍結をして、可能な限りの取引履歴を請求することをおすすめします。開示しないと言うことは何かしらの疚しいことがある可能性が高く、一刻も早く預金を引き出せないようにする必要があります。

 

そういった資料を開示しない相続人が抱え込み手がかりがない場合、被相続人の従前の生活を振り返り、自宅近くの金融機関や勤務先の取引金融機関に預金があったか確認するという方法もあります。ゆうちょ銀行は簡単に特定できますのでやっておいて損はありません。また、自宅不動産の抵当権者である金融機関にも何かしらの情報があるかと思います。

 

金融機関ごとに調査を行う必要があり、少々面倒とは言えますが自己の権利を守るためやむを得ないかと思います。

 

 

⑶ 遺産分割調停等手続

 

遺産を開示しない相続人が協力をしてくれないのに、任意の遺産分割の話合いは応じてくれる、ということはおよそあり得ません。結局は遺産分割の調停、審判という手続をとることになります。

この手続きの中で調停による釈明、金融機関等に対する調査嘱託という方法を取ることが考えられます。また、調停の外の手続として、弁護士法23条の2により、金融機関に対して照会を行うこともできます。もっとも、いずれの手続も遺産の開示につき必ずしも開示されない場合もあることに注意が必要です。

 

2. 手続

 

前述したとおり、話し合いが全くできないのであれば遺産分割協議はできません。遺産分割調停、遺産分割審判という手続を行うことになります。

 

協議とは異なり裁判所が間に入るため、時間や費用もかかることになりますが、相続人が非協力的である以上仕方ありません。   

 

遺産分割調停はあくまで話し合いですが、それもまとまらない場合は、遺産分割審判になり、裁判所が判断することになります。

 

審判の前提として相続財産を確定する必要があり、そのためにはある程度自分で財産を見つけなくてはなりません。

 

相手方に協力を求めていくと同時に何か手がかりを見つけていく必要があります。

 

 

3. 公正証書遺言

 

公正証書遺言であれば公証役場に記録がある可能性もあります。この中に遺産の記載がある可能性もありますので、お近くの公証役場に行き、公正証書遺言があるか確認する方法もあります。

 

以上、遺産を開示しない相続人がいる場合の対応方法を説明してきました。

 

読んで頂ければおわかりかと思いますが、かなり骨の折れる作業になります。

 

何か困ったことがあれば、弁護士に相談することをおすすめします。

この記事の執筆者

島武広
島武広島法律事務所 代表弁護士(神奈川県弁護士会所属)
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