遺産の不動産が未登記の場合の対処法 弁護士が徹底解説

1.なぜ実家が「未登記」のまま放置されているのか?

親が亡くなり、実家や所有していた建物の相続手続きを進めようとした際、役所や法務局の調査で「建物が登記されていない(未登記建物だった)」と発覚し、慌てるケースが非常に多く見られます。

建物を新築した際は、完成から1ヶ月以内に「建物表題登記(どんな建物が存在するかを国に登録する手続き)」を行うことが法律で義務付けられています。

それにもかかわらず未登記の家が存在する最大の理由は、「住宅ローンを組まずに現金(自己資金)だけで家を建てたから」です。

住宅ローンを組むと、銀行が建物を担保(抵当権)に取るために登記が必須となりますが、自己資金で建てた場合や昔の大工さんに建ててもらった古い家などは、抵当権を設定する必要がないため、登記費用を節約しようとあえて登記をせずに放置されてしまうことが多いのです。

「毎年、固定資産税の納付書が届いて税金を払っていたから、登記されているはずだ」と思い込んでいる方も多いですが、市区町村は航空写真などで独自に建物を把握して税金をかけているだけであり、「税金を払っている=登記されている」とは限りません。

未登記かどうかは、毎年届く固定資産税の納税通知書を確認し、「家屋番号」の欄が空欄だったり「未登記」と記載されていたりすれば、ほぼ間違いなく未登記建物です。

 

2.未登記建物でも遺産分割協議はできるのか?

「登記されていないということは、そもそも親の所有物だと証明できず、遺産として分けられないのではないか?」と不安になるかもしれません。

しかし、結論から言えば、未登記建物であっても財産的価値と所有権は確実に存在するため、当然に相続財産(遺産)に含まれ、遺産分割協議の対象となります。

通常の不動産であれば、法務局の「登記簿謄本」の記載内容をそのまま遺産分割協議書に書き写せばよいのですが、未登記建物の場合は登記簿が存在しません。

そのため、遺産分割協議書には、市区町村役場で取得できる「固定資産税評価証明書」や「名寄帳」の記載情報を引用して建物を特定します。

具体的には、家屋番号の欄に「未登記」と明記したうえで、所在地、種類(居宅など)、構造、床面積を評価証明書の通りに記載し、「上記建物は未登記のため、固定資産税評価証明書の記載による」と書き添えることで、法的に有効な遺産分割協議を成立させることができます。

 

3.未登記建物を「そのまま住み続ける」場合の手続き

遺産分割協議で実家を引き継ぐ人が決まった後、売却や建て替えの予定がなく、相続人がそのまま住み続ける(維持する)場合、法務局での正式な登記を急がず、まずは市区町村役場での手続きのみで済ませるケースが多くあります。

具体的には、役所の税務課などの窓口に、戸籍や遺産分割協議書とともに「未登記家屋の所有者変更届(自治体により名称は異なります)」を提出します。

これを提出することで、役所の課税台帳上の名義が「亡くなった親」から「実家を相続した人」へ変更され、翌年からの固定資産税の納付書が新しい所有者宛てに届くようになります。

ただし、これはあくまで「税金を払う人を役所に知らせただけ」であり、法務局で法的な所有権が認められたわけではない点に注意が必要です。

 

4.未登記建物を「売却・活用する」場合の手続き

将来的に実家を売却したい、あるいは建物を担保にしてリフォーム資金を借りたいといった場合は、役所の手続きだけでは不十分であり、法務局で正式な登記手続きを行う必要があります。

未登記のままでは買主が住宅ローンを組めず、所有権の移転も法的に不安定になるため、そのままでは一般市場で売却することはほぼ不可能です。

正式な登記を行うには、以下の「2段階」の専門的な手続きが必要になります。

お問い合わせはこちら

 

【第1段階:建物表題登記】

「どこに、どんな建物があるか」を法務局に登録する手続きです。測量や図面作成が必要になるため、専門家である「土地家屋調査士」に依頼するのが一般的です。親が家を建てた当時の「建築確認通知書」や「工事完了引渡証明書」などの資料が必要になりますが、古い家だと紛失していることも多く、その場合は電気・水道の領収書や評価証明書などを代用して所有権を証明するという複雑な作業が求められます。

 

【第2段階:所有権保存登記】

表題登記で登記簿の表紙が作られた後、「この建物の所有者は私です」という権利を登録する手続きです。こちらは「司法書士」に依頼して行います。

 

5.費用をかけずに手放す「3つの選択肢」

「誰も住まない古い実家のために、わざわざ高い費用を払って登記したくない」という場合、どのように処分すればよいのでしょうか。

 

選択肢① 建物を解体し、「更地」として売却する

実家が古くて人が住める状態ではない場合、最も現実的なのがこの方法です。未登記建物を解体して更地にすれば、建物の登記は不要になり、土地だけをスムーズに高値で売却できます。ただし、解体費用は相続人が負担する必要があり、解体後は役所に「家屋滅失届」を提出して固定資産税の請求を止める手続きを忘れないようにしなければなりません。

 

選択肢② 現状のまま「買取業者」に安く売却する

「登記費用も解体費用も出したくない、とにかく早く手放したい」という場合は、訳あり物件や古い空き家を専門に買い取っている不動産業者に、未登記のまま買い取ってもらう方法があります。業者が買い取った後に自社で登記や解体を行うため、売主の手間は一切かかりませんが、業者がリスクとコストを負担する分、売却価格は相場よりも大幅に安くなります。

 

選択肢③ 登記をして「中古住宅」として売却する

建物が比較的新しく、まだ十分に人が住める価値がある場合は、費用をかけて表題登記と所有権保存登記を済ませ、普通の中古物件として売りに出します。初期費用はかかりますが、建物の価値が上乗せされるため、最も高く売却できる可能性があります。

 

6.相続登記義務化による「過料リスク」に注意

2024年4月1日から法律が改正され、相続登記が「義務化」されました。

これにより、相続で不動産を取得したことを知った日から「3年以内」に登記を申請しなければならず、正当な理由なく放置すると10万円以下の過料(ペナルティ)の対象となります。

これは過去の相続にも遡って適用されるため、「親から相続した未登記の実家を何十年も放置している」という場合でも、猶予期間(2027年3月末まで)を過ぎると罰則の対象になる危険性があります。

未登記建物の相続は、通常の不動産相続よりも手続きが非常に複雑であり、遺産分割協議書の書き方や、法務局・役所への対応、さらには土地家屋調査士や司法書士との連携が必要になります。

トラブルや罰則を防ぐためにも、実家が未登記であることに気づいたら、一刻も早く相続に強い弁護士に相談し、適切な手続きのロードマップを描いてもらうことを強くおすすめします。

是非島・鈴木法律事務所初回無料相談をご利用ください。

相続を専門とする弁護士として事案に即した適切なアドバイスをさせていただきます。

相続財産の分け方で困っている

相続財産の分け方で困っている

「親族が揉めていて話し合いが進まない」
「相続財産で争いたくない」

このような方はこちらをクリック »
財産の使い込みで困っている

財産の使い込みで困っている

「財産を使い込んでいる相続人がいる」
「預貯金の使い込みを疑われている」

このような方はこちらをクリック »
最低限の相続分がもらえない

最低限の相続分がもらえない

「親の財産を相続できない」
「遺言に自分の相続分が書いてない」

このような方はこちらをクリック »
不動産の売却に納得しない相続人がいる

不動産の売却に納得しない相続人がいる

「住宅の処理について揉めている」
「親族間で話がまとまらない」

このような方はこちらをクリック »
相続人の一人が財産開示をしてくれない

相続人の一人が財産開示をしてくれない

「自分で調べようと思うがどうしたらいいか
わからない」

このような方はこちらをクリック »
相続したくない財産がある

相続したくない財産がある

「故人の借金を残していた」
「事情があって相続したくない」

このような方はこちらをクリック »
前妻との子との話し合いに不安がある

前妻との子との話し合いに不安がある

「聞いた事のない前妻と子どもがいた」
「突然、前妻が名乗り出てきた」

このような方はこちらをクリック »
遺言無効を主張したい

遺言無効を主張したい

「親が認知症だった」
「故人が書いた遺言だと思えない」

このような方はこちらをクリック »

FAQ

   

選ばれる理由

   

弁護士に相談するタイミング